JUGEMテーマ:音楽
テアトロ・セントラルに Estévez / Paños y Compañía の
公演 Bailables に行ってきました。
名前のように、Estévez と Paños の二人が作っている、
踊りのグループなんですが・・・
正直、まったく知りませんでした。
この日、本当は他の公演に行きたかったのですが、
早々に売り切れてしまい、、、それで、なんとなくこの公演に。
今回、踊りの公演は少ししか予定になかったので、
ひとつ増やしたかった、、それだけなんです。
ところが、上に張り付けた映像を見て頂くとわかるように、
思いっきりモデルノな舞台でした。
現代アート大好き、前衛大好物な私にとっては興味津々です♪
まず、タイトルの Bailables ですが・・・
こちらに留学してすぐ、フラメンコの分類学の授業を受けたんですが、
各曲種(パロ)を学ぶ際、必ず先生が言うのが、
そのパロが踊れるかどうか。
つまり、 Bailables かどうかなんです。
最初のフラメンコ学者とも言われるマッチャードの本にも、
それぞれのカンテが Bailables かどうかの記述がありますよね。
分類学の学習当時、もう18年も前になりますが、
踊られていたカンテはかなり限られていました。
パロで言うと 10〜20 の間、そんな感じです。
でも、今ではどうでしょう?
今回のビエナルでも、かなりのパロが踊られています。
少なくても40種くらいはあるんじゃないでしょうか?
この公演 Bailables では、このカンテも踊れる、これも踊れると、
今まで踊れないと思われていたカンテもどんどん踊っていました。
もう、カンテは Bailables かどうかで
分ける必要はないのかもしれませんね。
これ、、、、フラメンコ歌手としてはかなり嬉しい知らせです♪
特に、日本に関して♪
日本では、みなさんがご存知のように、踊られるパロしか、
ほとんど知られてはいません。
長期間フラメンコに関わっている人でも、
おどられないパロにも詳しい方は少ないのではないでしょうか?
でも、、、
でもですよ、、、
どのカンテもばりばり踊られるようになったら、
嫌でもそれらのカンテを知らないで済ませる訳にはいきません。
スペインのバイレ教室で振付を学んだ場合、その効果は歴然です。
だって、せっかくスペインで覚えた振付を日本で踊ろうとし場合、
日本であまり知られていないパロだとしても、
やっぱり生で歌ってもらって踊りたいでしょ?
これはいいですよ!!!
踊りにカンテの珍しい曲種が出てくるたびに
スペイン人カンテさんを頼むのも大変ですから、
日本人のカンテ練習生も、今まで以上に多くのパロに興味を持ち、
多くのパロを学ぶようになりますよね。
日本人が今まで以上に多くのパロに親しむようになったら!!!
そうなったら、日本のフラメンコはずっと豊かになるでしょう♪
さ、みなさん今からでも遅くはないですよ、
なるべく多くの種類のカンテを聴いて、
耳をしっかり肥やしておいてくださいね。
さて、今回の公演に話を戻してっと。
私は個人的にかなり気に入りました。
彼らの公演があれば、これからもチケットを買うと思います。
まず、今回かなり興味深かったのが、カンテさん。
なんとギターを弾き、ピアノも弾き、どっちも弾き語りもし、
無伴奏でもどんどん歌い、、、ずっとずっと歌い。
時々踊り手さんがピアノを弾く以外、
ずっと一人ぼっちで舞台上のすべての音楽をになっていたんです。
まだお若いとはいえ、本当にお疲れ様だと思います。
特に、無伴奏のカンテを歌ったことがある方はおわかりと思いますが、
伴奏ありのカンテに比べて、実は何倍も疲れるんですよね。
音程もリズムもなにもかも、たった一人でキープしているので、
ものすごーーーく気を使うので・・・。
それを、たぶん今回の公演では、
少なくても30分間以上無伴奏で歌っていたと思います。
それから、もうひとつ特筆するべきなのは、
ぽっちゃりバイラオールのEstévezさん。
丁度ダイエットをする前のパパイヤ鈴木さんくらいの
ぽっちゃりボディなんですが、軽やかに踊る踊る。
もしかするとパパイヤさん以上のキレかもしれません。
ちょこちょこパルマを叩いたり、合図をだしたり、
舞台全体のリズムも担っていたと思うのですが、
私が知っているフラメンコアーティスト達の中でも、
群をぬいてリズム感がいいんです。
そんな訳で、もちろんサパティアードも素晴らしくて、
彼の正確なだけとはちょっと違う、、、、
なんとも生き生きとしたリズムが、
舞台をも生かしていたんだと思います。
他の踊り手さん達も、フラメンコ、ホタ、クラシック、
コンテンポラリーダンス、などなど、
様々なダンスを見せてくれるのですが、どれも素晴らしかったです。
一般的なフラメンコの舞台に比べて、
無伴奏のカンテを中心にした振付は、
とにかく練習に時間がかかるものです。
だって、全員が同じリズムに統一することが出来ませんから。
今回の公演を見ながら、いったいどれだけ練習したんだろう、
そんな事をついつい考えてしまいました。
約2時間の間、誰もひっこまず、音も止まらず、
全員が正確な位置取りと、完ぺきな踊りと、
そして魅力的な表現をし続けたんですから。
すごいなーーー!!!
こんなグループが育っていたなんて、
スペインのフラメンコはもう安泰ですね。