とうとう、今回のビエナルも最終公演になっちゃいました。
マエストランサ劇場へ、ホセ・メルセのカンテコンサート、
Anotologia del Cante flamenco カンテフラメンコ選集 に
行ってきました。
ホセ・メルセはフラメンコの世界では知らない人はいない、
いえいえ、一般のスペイン人でもほとんどの人が知っている、
数少ないフラメンコ歌手です。
彼のコンサートに行くのは、これで確か3回目だったと思います。
1回目はまだ留学する前に短期の旅行で馬を見にへレスに行って、
たまたま劇場でコンサートをやっていた時。
フラメンコに関してほぼ無知だった私も、
ホセ・メルセの名前はさすがに知っていたので、
どきどきしながら席に着きました。
感想は・・・
ほぼ初カンテコンサートでしたから、なんだかわからない内に終わって、
なんかずっと吠えているような、力強いなーって思ったくらい。
もちろん、歌詞なんかひとっつも聞き取れませんでしたよ。
この時は自分がカンテをお仕事にするとは夢にも思ってませんでしたし。
2回目は、結構最近で、たぶん7年くらい前、
地方の街で行われた野外コンサートです。
大勢のカンテさんが次から次へと歌い、オオトリがホセ・メルセ。
力強さは相変わらずでしたが、以前よりちょっとお茶目になったような、
スペイン語が聞き取れるようになったせいか、そんな事を感じました。
さて、3度目の正直じゃないですが、今回のコンサートです。
もちろん、超満員、相変わらずの人気ですね。
ゲストギタリストはトマティート、ペペ・アビチュエラ、
どちらも今回のビエナルでソロコンサートを行っています。
そして、いつもホセ・メルセの伴奏をしているアルフレッド・ラゴスと
贅沢にもほどがあります。
それぞれのギタリストに、それぞれのギターを生かした曲を伴奏させ、
ホセ・メルセはコンサートのタイトル通り、数多くの曲種を
次から次へと歌いました。
普段なら、シギリージャだけでも20分以上も歌うのに、
今回はたくさんの曲種を歌う事を目的としたのか、
それぞれ1曲はせいぜい7分くらいまで。
グラナイーナに至っては、メディアグラナイーナも付けず、
わずか数分で終了です。
これ、カンテ初心者の人には、かなり聞きやすいコンサートですね。
プログラムに、ソレア、シギリージャ、ティエントと、
1曲が長いことでおなじみの曲種が3つも、
それも続けて並んでいたので、お客さんみんな寝ちゃうんじゃ?
ってちょっと心配だったんですが、まあ短い短い。
ティエントなんて、メインのティエントたった2つしか歌わなくて、
即タンゴに入って、そのタンゴもほんの数分で、ハイ、おしまい。
14曲のプログラム、全部歌っても1時間とちょっとでしたから。
私、この段階でかなり好感を持ちました。
だって、ビエナルってフラメンコ初心者のお客さんが多いですし、
バイレなら公演に行ったことがあるけど、カンテは???
って外国人でも、これなら楽しめますもん。
カンテ入門編としては満点です。
それから、、、
数曲聞いた段階で、私の中で ? がひとつ。
それは、、、
あれ? ホセ・メルセってもっと野獣のような歌い方じゃなかった?
なんか、やけにすっきり爽やかなんですけど。
歌詞もものすごーくクリアーだし、声もちっともしゃがれてません。
節回しもシンプルでわかりやすく、とにかくさっぱりとしています。
もしかして、今回の公演の為にあえてこういう歌い方なのか?
それとも、世界一のフラメンコ音響をほこる
マエストランサ劇場の音響さんの手にかかると、
野獣ホセ・メルセのカンテもこんなにすっきりするのか?
うー・・・まさか私の耳が大きく変わったのか???
1人で悩んでもしょうがないので、
ユーチューブで最近のホセ・メルセを検索してみたら、
あらー、すっきりさわやかーーー!!!
一番上の映像は10年前、51歳の時のホセ・メルセ、
そして、61歳、つい最近のホセ・メルセの同じ曲です。
ポップスの歌手の人との共演なので、余計そう感じるのかもしれませんが、
なんか、、、若返ってません???
それに、発音もわかりやすいし、なんか声も綺麗になったような。
今回のビエナルで、
いくつかのカンテコンサートに行って思ったんですが、
なんか、以前のカンテさんに比べて、
みなさん、声綺麗じゃないですか?
音程も発音もずっとクリアーじゃないですか?
今時の若いカンテさんの特徴なのかとも思ったんですけど、
ホセ・メルセまでそんな歌い方になっているってことは、
あきらかにフラメンコ界全体の傾向なんだと思います。
音響の発達によって、
観客の耳はどんどん良くなっていると言われています。
多少雑音があるくらいのほうが味があると言われた、
古い録音のカンテのCDも、最近技術で雑音を取り除き、
再発売されるものが多くなりました。
カンテは聴きづらい、
何を言っているかわからない、
そんな事が観客のカンテ離れを誘発していると長年言われてきて、
でも、こうしてすっきりとわかりやすく歌う事によって、
こんなにも多くのお客さんが、
また劇場にカンテを聴きに戻って来てくれるなんて、
本当に、、、、、よかったです。
うるうるうる・・・
日本でもカンテファンを増やすために、
綺麗な声で、すっきりとした音程と発音で、
しっかり歌っていきましょうね。
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